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「かとく」

2017.08.23 Wednesday
 労働基準監督官は専門職の国家公務員で全国に約300人。長時間労働や残業代の未払いなど様々な労働問題を扱うほか、労働基準法に基づいて企業に抜き打ちで立ち入り調査も行います。社員の出勤簿や入退社記録、パソコンのログイン歴、メールなどを徹底的に分析します。会社のどこを見れば違法残業の実態をつかめるかは、事前に把握しているケースも多い。
 監督署は一般的に、企業に対して行政指導としての「是正勧告」を出します。しかし、何度も是正勧告を受けたり過労死が起きても労務環境を改善しない大企業もあります。そんな悪質なケースは「過重労働撲滅特別対策班(かとく)」の出番になります。「かとく」は、2015年4月、東京と大阪の労働局に設置され、大企業の本社が主なターゲットです。これまで電通のほか、エイチ・アイ・エス、エービーシー・マート、ドン・キホーテなどを労働基準法違反の疑いで書類送検しています。 
 ただ、大企業の違法残業を立件することは難しい。入・退社記録と出勤簿のギャップだけでは立証できない。社内にいても飲食やサークル活動、自己研鑽などの時間が含まれたり、PCが起動しいていても消し忘れたりする可能性があるためです。「自らの意思」ではなく「上司の指示」を受けて残業したことを裏付ける必要があり、複数の同僚の証言者も確保しなければなりません。
 厚労省では監督体制を強化する一方で、監督官不足が課題になっています。全国に監督の対象となる事業所は400万カ所ありますが、15年の監督件数は15万件。監督官不足のため全体の4%弱しかカバーできていません。このため、政府は来年度から監督官の業務の一部を社労士などの民間に委託する方針です。
 日本の正社員は欧米に比べ職務内容が不明確で、それが長時間労働の温床ともいわれています。企業は不要な業務がないか点検し、生産性を上げ労働時間の短縮を図るなどの対策が迫られています。(岡本)
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